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「年収の壁」のまとめ

 昨年の9月27日のブログで、社会保険料の適用拡大の件をお伝えしました。

 

 そのブログの中では、企業の目線で社会保険料についてご説明させていただきましたが、今回は従業員の目線から、現在良く話題に上がっている〇〇〇万円の壁についてご説明していきたいと思います。

 実際私も良く分かっていなかったので、整理する良い機会となりました。

 

 以下の表にあるように壁は5つあります。また内容で分けると税金の壁(100万円、103万円)、控除の壁(103万円、150万円)、社会保険の壁(106万円、130万円)の3つに分かれます。

 私は家族がいないので控除の壁はありませんでしたが、今回初めてはっきりさせたので、他の人への説明ができるようになりました。いろいろあるので経理の人は大変です!

 

 まず100万円の壁ですが、これは住民税が掛かり始める壁です。ただ、これは居住地によって異なるので、90万円台からかかる場合もあるのでご注意下さい。また100万円の理由は給与所得者の旧所得控除額55万円と住民税基礎控除額45万円の合計です。

 

 次に103万円ですが、住民税控除額と異なり所得税控除額が48万円のため、103万円から所得税が掛かり始めます。なんで一緒にしないんですかね!

 また、この103万円は、大学生控除額63万円及び高校生控除額38万円の境になるので、アルバイトをしている子供は気が付かずに両親の給与が大きく減るということが起こる恐ろしい金額です(笑)。配偶者控除の境目でもあるのですが、実際は特別配偶者控除に代わるだけで、150万円までは何も変わりません。

 

 次は106万円の社会保険の壁で、こちらはさらに複雑になっています。それは働いている企業の規模によって社会保険に入らなければならない場合と入らなくても良い場合があるからです。

 9月27日のブログでは、この106万円の壁がこれまで101名以上の会社だったのが51名以上の会社になったとことお伝えしています。つまり50名以下の会社はこれまで通り社会保険に入らなくても大丈夫です。ただ、逆に50名以下の会社でも社員に対してより良い福利厚生を提供したいなど社員の将来を考えて社会保険(厚生年金)に入れてあげる企業も出てくるかもしれません。

 

 次の130万円の壁は、完全なる社会保険のへお誘いです。ただしここも注意が必要で、この壁に当たる場合従業員は50名以下の会社になりますので、社会保険は自分一人で入らなければならない国民年金になります。本来は会社が半分支給する厚生年金に入るべきだと思いますので、もし会社が入れてくれなければ厚生年金に入れてくれる会社へ移った方が良いと思います(笑)。そうでないと掛け金はより多く、将来の貰える年金は少ないという悲惨な状況が待っています。

 

 最後の150万円の壁は、特別配偶者控除額が減り始める壁です。201万円で特別配偶者控除額はなくなりますが、ここまで来たら通常の正社員となってがっちり稼いでいただくことを検討するのが良いかと思います。

 

 以下この壁を無くすための今後の政府の動きです、100%決まっているわけではありませんが、労働人口の減少下、いかに労働人口を増やしていこうかという流れになっています。そのために企業に厚生年金の負担を強いてきますが、社員さんのためには良いことだと思いますので、これを出せるぐらいに利益を増やすことを目指しましょう!!

・社会保険加入の月の収入88,000円→2026年10月に廃止予定

・社会保険加入の企業規模51名以上→2027年10月に廃止か?

・これらによって今後は月20時間以上働けば全て社会保険加入の義務が生じるようになります。ただしその救済措置として企業がこれまで半分持っていた社会保険料を、半分以上出してくださいというようになるようです。この辺はまだ決定していませんので、是非ニュース等をご覧いただければと思います。

 

 我々個人や企業の負担が増えるのは嫌ですが、とりあえず制度はシンプルにしてほしいと思います。ただ、世間の声に流されやすい今の政治家と官僚では難しいのかと・・・・

 

 

 さらに、日本国民民主党の公約により、控除額がいくつか変わりそうです。ただこちらも2025年から徐々に変わっていく予定なのでご注意ください。

 所得税基礎控除 48万円⇒58万円

 住民税基礎控除 45万円変更なし

 給与所得控除  55万円⇒65万円

 扶養控除    年収103万円変更なし

 特別扶養控除  年収103万円⇒150万円

 

 なぜ19~22歳の子供を持つ親だけを優先したのか分かりませんが、今後も人手不足を解消するための施策は継続されていくと思います。