前回、「前回の㈱武蔵野社長・小山昇氏の書籍等で紹介されていた一倉定氏の有名な書籍<1965年初版本の復刻版>です」と書きましたが掲載の順番が逆になっていました。大変申し訳ありません。今回が、前回ご紹介した一倉定氏の本を紹介した小山昇氏の書籍です。
タイトル 新版 経営計画は1冊の手帳にまとめなさい
出版社 KADOKAWA
著者 小山昇
価格(税別) 1,600円
中小企業経営者 ☆☆☆ ☆
中小企業診断士勉強者 ☆☆☆
<内容>
経営コンサルタントとして有名な株式会社武蔵野社長、小山昇氏の書籍です。
第1章 「経営計画をつくる」ことを決定する
・経営計画書は、立派な会社を作るための「道具」である。
・経営計画書を作る時は、一から自分で考えるよりも「真似」から始めるのが早い。真似も3年続ければ、オリジナルになる。
・経営計画書は、「正しく作る」より「早く作る」ほうが大事である。実際正しく作ろうとすると完成しない。
・経営計画書は、仰々しく立派に作っても誰も見ない。常に持ち歩ける「手帳サイズ」にすれば常に携帯し、見ることができる。
・経営計画書には、「社長の姿勢」を書き、社長の覚悟を示すために「社長の実印」を押す。
第2章 「経営計画書の徹底」を決定する
・社員は自発的に勉強することはありえないと考えた方が良い。
教育とは「強制」すること、つまりやらなければならないような仕組みを作る。
・全社員対象の「政策勉強会」を実施。時を場所を共にして、価値観を共有する。
・「朝礼」では、経営計画書の方針を「強制的」に読ませる。また「穴抜きテスト」を行い理解度をチェックする。
第3章 「数字」を決定する
・経営計画書の作成は、「目標の数字を決めること」からスタートする。
・経営は逆算。初めに「経常利益の目標」を決定する。「経常利益」の数字に、根拠はいらない。
数字は適当に決める。つまり、会社の将来に必要な金額(設備投資、人件費・・・)から考える。
・目標とする「数字」が決まったら「どの商品(事業)で稼ぐか」を考える。
・経営は「数の理論」。顧客単価を増やすよりも、数(シェア)を増やすのが原則。
・「長期事業構想書」を作成する。「5年後に売上倍増」を目指すぐらいの計画を作ると、今の延長線上では到達できないので、全く新しいアイディアが浮かぶ。
第4章 「方針」を決定する
・社長の一番大切な仕事は「方針を決定する」こと。
・若い組織はトップダウン。成熟した組織ならばボトムアップで経営計画書を作る。
・もっとも簡単な方針の立て方は、武蔵野の「第36期経営計画書」を真似る。
(コピーして必要なところだけハサミで切りノートに貼る)
・真似する時は「自社にできること」だけを真似る。だたし、簡単にできることだけでは駄目。
・「各論」を決めるが先。難しい「経営理念」は無くても良い。
第5章 「スケジュール」を決定する
・今年やったことを、来年も同じ日に行う。「変わらないもの」から考えれば、スケジュールは直ぐに決まる。
・「人に仕事をつける」のではなく「仕事に人をつける」。そうすれば機械的に仕事を進められ、業務の効率化にも繋がる。
・幹部社員は「人を育てない」のが当たり前と考え、ここも仕組みで解決していく。
第6章 「経営計画発表会の開催」を決定する
・「経営計画発表会」を開催し、社長の言葉で方針を発表する。
・「経営計画発表会」には金融機関(支店長)を招待する。経営計画書は金融機関にも渡す。
「経営計画発表会」「社員の姿勢」、そして経営計画書が担保の代わりになる。
<感想>
ダスキンFC事業を引き継ぎ、黒字決算をづっと続けており、そのノウハウを元に経営コンサルティングを行っている小山昇氏の書籍。
ずっと読みたかったのですが、やっと1冊読めました。今後も読んでいきたいと思っています。
割と極端な意見のように読めますが、基本的な考え方は、①中小企業では経営者次第、②考えるよりも決定して行動を起こしてから修正していくほうが良い、③社員、金融機関などの関係者に情報を開示することで安心してもらい味方になってもらうという事だと思います。
実際自社の経営計画書を見せて参考にさせているようですので、他の経営コンサルタントではできない手法ですし、大変実践的だと思います。私も見せてもらいたいのですが、同業者なので無理だと思います(笑)。