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書評⑱小さな惣菜チェーンの社長さんが「募集費1/2 採用数2倍」でやったこと

こちらの本は私が「食プロ」の講座を受けた時に講師で登壇された、関東地方で18店舗の惣菜店、飲食店を経営する川名勝経社長の本になります。出版時に新横浜プリンスホテルで記念パーティーがあったのですが、そちらにも出席させて頂きました。

 

飲食店で人手不足に悩んでいる経営者の方のために、具体的な例を挙げてノウハウを提示しています。お勧めです。

 

タイトル   小さな惣菜チェーンの社長さんが「募集費1/2 採用数2倍」でやったこと

出版社    商業界

著者     川名勝経

価格(税別) 1,500円

 

中小企業経営者     ☆☆☆ ☆

中小企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

<内容>

1996年に川崎で創業した「はなまるフードサービス」は関東地方で惣菜を販売している会社で、現在は惣菜店16店、飲食店2店を展開している。

 

1996年の創業時には人集めには苦労しなかったが、2013年に神奈川県に出店した時から状況が大きく変わ最もひどかったのが2015年の蒲田店で、募集期間2カ月、求人雑誌への広告費350万円(通常の倍)をかけたにも関わらず、1名しか集まらなかった。

2016年には求人広告だけで年間2000万円を掛けざるをえなくなった。それでも人が集まらず、正社員の長時間労働化というように悪循環が広がった。

 

ここからいろいろな面での改革が始まった。

①ターゲット(当社が求める人間像)を決める

 

②会社の将来像に合わせた要因計画の作成をする

 ・店を正常に運営するための短期要因計画と会社の将来のための長期計画の両方を作成する。

 

③自社にあった媒体を選択する

 ・1会員当たりの掲載料、担当者の熱意

 

④ターゲットに響くメッセージを作成する⇒以下の2要素を上手く使う。

 ・想起的メッセージ:求職者が、仕事や身につくことをイメージしやすい広告。

  「こんなふうに自己の成長を実感できますよ」など。
 ・開拓的メッセージ:未経験の人でも安心して応募できるような広告。

  「包丁を持った経験のない方でもOK」など。

 ・ターゲットがもっと絞られる場合は、そのターゲットに合ったメッセージを作成。
  *学生:試験期間や夏休みなど、全く働けなくなる時期を考慮する
  *シニア:空いている時間を有効の活用したいというニーズに応える

 

⑤HPの変更

 ・応募者が知りたい情報を満載にする⇒入社して経験できることを伝える

 ・掲載事項:経営目的、応募から採用までのスケジュール、社内のイベント

      Q&A、先輩のインタビュー+社員の笑顔

 

⑥募集広告、HP、店舗の一貫性

 ・募集広告やHPでいくら良いことを言っても店舗の雰囲気が悪ければ求人は来ない。

  そのため、店舗の店員がテキパキと笑顔で仕事をし、楽しそうに協力しあえるようにする。

 

⑦求人サイトでの工夫

 ・ウェブサイトの機能(スカウトメール、あってみたいメール等)を活用する。

 ・面接後2日以内に結果を連絡すると事前伝える。

 ・面接日の設定を応募後最短日に設定する。

 ・面接後結果を2日以内(採用者は当日)に連絡する。

 

⑧面接時の注意ポイント

 ・面接は応募者からされていると思う。

 ・面接時の第一印象を良くし、感謝の気持ちを伝えて信頼関係を築く。

 ・応募者の話をしっかり聞き、お見送りは丁寧にする。

 ・採用の可能性が高い応募者にはその場で伝える。

 

⑨面接の注意ポイント

 ・応募者の「人となり」「労働観」「労働条件」を見る

 

⑩入社初日の注意ポイント

 ・入社時の心配事項は「仕事ができるようになるか」「職場の仲間との人間関係」の2つ。

 ・入店オリエンテーション:経営目的・理念・基本5原則、ハウスルール、雇用条件

 ・初日の初期教育は厳しく行う:手洗い、挨拶、スマイルの挨拶・・・

 ・店舗でのOJT:現社員に対して新人は最初はお客様と一緒と接し方を指導

 

⑪毎日の朝礼で再確認する

 ・経営理念や基本5原則の確認

 ・情報の共有とコミュニケーションの円滑化

 ・スマイルアップによる準備体操

 

<感想>

元気でいつも笑顔の川名社長らしい書籍です。

飲食店、惣菜店以外でも採用に苦労している企業様には参考になる事例だと思います。

 

さらに、ターゲットを決めて、ターゲットに合ったサービス(メッセージ)を適切な流通を通して提供するという事は、実はどんな業種にも適する内容だと思います。

 

楽しいお店なので近くにお店があれば覗いてみてください。

 

https://www.hanamaru-fs.co.jp/