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書評⑫アイディアの力

タイトルはアイディア出しの本のようですが、コミュニケーションの方法の本です。

 

タイトル   アイディアの力

出版社    日経BP社

著者     チップ・ハース+ダン・ハース

価格(税別) 1,600円

 

中小企業経営者     ☆☆☆

中小企業診断士勉強者  ☆☆☆

 

<内容>

記憶に焼き付くアイディアの6つの共通原則

①単純明快である

②意外性がある

③具体的である

④信頼性がある

⑤感情に訴える

⑥物語性がある

 

①単純明快である

・アイディアの核となる部分を見極める⇒アイディアから余分なものをはぎ取って、一番大切な本質をむき出しにする

・アイディアを相手の記憶に焼き付ける2ステップ:①核となる部分を見極める、②SUCCESチェックリストを使って核となる部分を言葉にする

・大事なのは平易化ではなく、的確さと優先順位である

・相手が既に知っている概念と結びつけると新しい概念も理解しやすくなる

・良い比喩は創造的である⇒想像しにくい物を想像しやすいものに置き換かえる

 

②意外性がある

・コミュニケーションの最初の問題は相手の関心を掴むことである。関心を掴む最も基本的な方法はパターンを破ることである

・驚きは予測可能性の対極にあるもの。驚きは後から考えれば理解できるものでなければならない。

 振り返れば「なるほど」と思うが、その時は予想もしなかった、というようなひねりが必要である。

・人々の関心を掴む裁量の方法は既存のイメージを単刀直入に打破することである。

・聞き手の興味をつなぎ留めたければ好奇心の隙間理論を利用すればいい。ちょっとした謎が大きな効果を発揮する。

・「あなたはこれだけのことを知っています。でも、これは知らないでしょう」

 

③具体的である

・具体的であることは理解を助ける。既存の知識や認識を土台により高度でより抽象的な洞察が得られる。

 

④信頼性がある

・家族、個人的体験、信仰は、信頼性の三大要因。

・反権威者は時に権威者に勝る。

・鮮明な細部描写は信頼性を高める。ただし、その細部は偽りのない細部、核心に迫る細部でなければならない。

・統計を使う場合は、数字よりも関係性を覚えることの方が重要。人間的で日常的な文脈の中に置くことが重要。

・内在的信頼性を高める第3の方法は、ある種の事例を持ちいることである。

・顧客に自ら真偽を確かめさせるやり方は検証可能な信頼性である。

 

⑤感情に訴える

・信じてもらうことは大事だが、それだけでは十分ではない。行動を起こさせるためには心にかけてもらう必要がある。

・アイディアを心にかけてもらうための3つの戦略:①関連付けを利用する、②自己利益に訴える、③アイデンティティに訴える

・共感は全体ではなく、個々の事項から生まれ出る。

・相手の分析の帽子を脱がせる。特定の個人への共感を生みだす。アイディアを相手が既に心にかけていることと関連付ける。相手の自己利益に訴えかけるが、同時に自分らしさにも訴える。そこには実際の自分らしさだけでなく、なりたい人物像も含まれる。そして、聴き手にとってどんなメリットがあるかを考えるときにはマズローの欲求段階の底辺部を脱するように心がける。

 

⑥物語性がある

・物語にはシミュレーションと励ましという驚異的な二重効果がある。

・シミュレーションには実際の行動ほどではないにせよ、それに準じる効果がある。頭の中のシミュレーションは解決に役立つ。

・人を励ます物語には3種類の基本的な筋書きがある:①挑戦、②絆、③創造性

・日常生活が生み出す優れた物語をいつでも発見できるようにアンテナを立てておくことが重要である。

 

・記憶に焼き付くアイディアの最大の宿敵は知の呪縛である。コミュニケーションをする枠組みを台無しにする知の呪縛を避けるためにこの6つの原則が必要になる。

 

以下はコミュニケーションの枠組みとSUCCESチェックリストの対比である。

コミュニケーションの枠組み

 ①関心を払う⇒意外性がある

 ②理解し、記憶する⇒具体的である

 ③同意する、あるいは信じる⇒信頼性がある

 ④心に掛ける⇒感情に訴える

 ⑤そのアイディアに基づいて行動できるようになる⇒物語性がある

 

<感想>

アイディアの出し方の本と思っていましたが、コミュニケーションの方法論の本です。

企業から顧客へ、経営者から従業員へなどコミュニケーションは最も大切なビジネスの要素の一つです。

色々な場面で使える方法だと思います。