今回は書評の5回目になります。
マーケティングは私の専門ですが、この本は最近まで全く知りませんでした。
商品開発のためのヒント(戦略)が結構有名のようでこの本を購入しました。
これまでのマーケティング理論にはない内容なので面白いかもしれません。
私は個人的にもこの方のメールマガジンに登録しています。
タイトル 経営戦略立案シナリオ
出版社 かんき出版
著者 佐藤義典
価格(税別) 2200円
中小企業経営者 ☆☆☆☆
中企業診断士勉強者 必要なし
<内容>
”戦略BAICS”
①戦いやすい戦場で、②独自資源を活かして、③差別化された製品を、④ターゲット顧客に対して、⑤分かりやすいようにつたえる。
①戦場型(Battlefield:戦場・競合)
戦場を決めるという事は、自社はどんな価値を提供するのか、自分は何やかを顧客の視点で定義すること
②独自資源型(Asset:独自資源の蓄積)
③差別化型(Strength:強みを活かした差別化
・一つの軸でナンバー1になり、他軸で平均点以上を取る
・強みとは差別化できるもの、顧客が評価するもの
・競合がいなければ差別化は不要、競合が誰かによって強みが変わる
・短期的な強みと長期的な独自資源、独自資源に基づかない差別化はすぐに真似される、ソフト資源は自社でじっくり育成する
・長期的には、差別化そのものよりは、差別化を可能にする能力(独自資源)が必要
④顧客型(Customer:顧客ターゲットの選択)
ベネフィットでセグメンテーションをする、顧客を絞れば競合が決まり、競合が決まれば、差別化ポイントが決まる
⑤メッセージ型(Selling Message:伝わるメッセージ)
競合、顧客によってメッセージを変える、差別化ポイントを価値に翻訳する
例1:商品軸 最高品質型:日本酒 久保田
①戦場・競合 全国の日本酒戦場
②独自資源 a)こだわりの製法・原料、 b)低温流通の仕組み
③差別化・強み a)最高品質の美味しさ、 b)美味しいままに届けられる
④顧客セグメント 美味しさにお金を払う、日本酒に拘る方々
⑤メッセージ とにかくおいしい
例2:密着軸 顧客密着型:スーパーオギノ
①戦場・競合 山梨県内のスーパーマーケット
②独自資源 a)ハード資源:購買データベースとポイントシステム
b)ソフト資源:データベースを使いこなす独自システム
③差別化・強み 優良顧客の欲しい品物を的確に品揃え、顧客ニーズに合った提案力
④顧客セグメント 購買状況に応じてセグメント
⑤メッセージ それぞれの顧客セグメントに適したメッセージをDMで発送
筆者のメールマガジンより
例3:ウタマロ石鹸
①戦場・競合 戦場:「しつこい泥汚れを落とす」
競合:洗濯機、他の石けん
②独自資源 『せっけん原料の油の組み合わせと独自の配合』
③差別化・強み 洗濯機では落ちない、しつこい泥汚れなどの部分
汚れがとにかく良く落ちる
④顧客セグメント 衣類にしつこい泥汚れがつく子どもを持つ親
⑤メッセージ しつこい泥汚れが落ちます。ご体験ください!
<感想>
コンサルティングの人が書いた本で、商品開発などのマーケティングに特化している珍しい本です。
5つの型を提案していますが、結局全て必要でありやらなければならないことは1つなので、逆にわかりやすいです。
特に独自資源型&差別化型の部分は商品開発に関連する部分で、3つの軸を基に商品開発を進めていくいく手順は良くできていると思います。
既にある程度基礎が決まっている場合はこの3軸を基にする商品開発だけでも役に立つと思います。