今回はこれまでの書籍とは少し趣がことなる、人事関係の本になります。
私もいろいろ人事関係の本、例えばチームビルディングとかモチベーションなどの本を読みましたが、この本が最近では一番興味深かったです。チームで仕事をする上でのポイントが分かると思います。
ちょっと長いですが、是非ご参考にされてください。
タイトル 世界最高のチーム
出版社 朝日新聞出版
著者 ピョートル・フェリクスジバチ
価格(税別) 1400円
中小企業経営者 ☆☆☆☆
中企業診断士勉強者 ☆☆☆
<内容>
今日のように変化の激しいビジネス環境で抜きんでた成果をあげるためには、ダイバーシティ(多様性)に富んだ「集合知」が不可欠である。思いもよらないようなシナジー(相乗効果)を生むためにチームで考えながら働かなければならない。
このように考えた時にグーグルの創業者であるラリー・ペイジはチームメンバーは優秀なのでリーダーはいらないのではと著者に聞いた。そして、リーダーが必要な科学的な理由を聞いたきた。
それに答えるために成果を上げているチームのリーダーとそうでないチームのリーダーを比較し以下のような結論に至った。
チームのパフォーマンスを高めるリーダーの特性
①良いコーチである
②チームを勢いづけて、マイクロマネジメントはしない
③チームのメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている
④生産的で成果主義である
⑤チームの良き聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている
⑥チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている
⑦チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている
⑧チームのメンバーにアドバイスをできる専門的技術・知識を持っている
この中で最も大切なのは、「良いコーチである」ことである。逆に言えばコーチングできないリーダーはたとえ②~⑧ができたとしても結局はチームのパフォーマンスを上げることはできない。
さらに生産性の高いチームの特性を様々なチームを比べることにより以下のような結論を導き出した。
①チームの「心理的安全性」が高いこと
②チームに対する「信頼性」が高いこと
③チームの「構造」が「明確」なこと
④チームの仕事に「意味」を見出していること
⑤チームの仕事が社会に対して「影響」をもたらすと考えていること
この中で最も大事なのが①の「心理的安全性」であり、安心して何でも言い合えるチームになっていることである。
チームの心理的安全性を高めるための仕組みは以下の通り。
①ワン・オン・ワン:マネージャーは週1回1時間、必ずメンバーと1対1で個人面談してコーチングする。
②ライフ・ジャーニー:A3の紙に自分がどんな人生を歩んできたかをターニングポイントにおける①行動、②その意図、③味わった感情が分かるようにできるだけ具体的に書き、4分程度で皆に説明する。それを元に皆でデスカッションする。それにより事実ベースではなく、価値観ベース、信念ベースの会話ができ、つまり本音で言い合うことにあり、心理的な壁を取り払うことができる。
③無条件の肯定的関心:目の前にいるメンバーを人として承認する。つまり相手が自分を見ていてくれると感じることである。
④ワン・オン・ワンでプライベートな相談を聞いてあげる。その後、「その後どうなりましたか」と聞いて時に触れて気にかけてあげる。
⑤相手のネガティブな発言をポジティブな表現に言い換えて聞き返す。
⑥会話を通じて相手の選択肢を増やしてあげる。
⑦性善説に立って建設的に話し合う。「面倒くさい」「どうしたら面倒くさくなくなるか一緒に考えてみましょう」
⑧リーダーは自分の弱みを積極的に開示することにより何でも言っていい雰囲気を作る。
⑨揉めている二人を仲裁するには、当事者の言い分を穏やかに聞き出す。
⑩愚痴を要望に言い換えて、ちゃんと認識してもらって、建設的な話し合いの方向に誘導する
⑪雑談をする⇒「価値観」「信念」「基準」「モチベーション」にまつわる質問をする
⑫人生を無駄にする質問より人生を変える質問をする
⑬「人生で一番感謝していること」「人生のターニングポイント」を話してもらう。
マネージャーのやるべきこと
①チームのミッション(ビジョンと戦略)をキチンと決めること
②そのミッションに向かっていくプロセスを管理する
③メンバーを育成する
注意事項
①一人のマネージャーに対してチームメンバーは7名以内
②プレイングマネージャーになってはいけない⇒チームの日常業務はせずにマネージャーレベルでのプレーをしなければならい
③ポーロフォリオマネージャーになる⇒社内、社外のあらゆるリソースを活用してポートフォリオ(最適な組み合わせ)を作る
④部下を育て任せて、別の仕事に挑む⇒チームメンバーをアシスタントのように使ってはいけない
⑤前例を作って自分が手本になる⇒リード・バイ・エグザンプル、ファーストペンギンになれ
チームの仕組み作り(自動化、パターン化)の方法
①安全な「場づくり」
②チームのゴール設定
③パフォーマンスの評価
④人材の育成
⑤チームの代表として動くこと
マネージャーはチームのアウトプットで評価される
<感想>
2000年に来日し、グーグルのアジア・パシフィック地域で人材開発に携わった著者が明かすチームビルディングの秘密です。
元々は違う本の書評で、チーム運営で最も大切なものは「社員の心理的安全性」であり、それはグーグルで生まれたといった内容でした。
この考えに大変共感し、見つけた本がこの本でした。チームビルディングとチームを率いるリーダーに必要な要素を教えてくれます。
コーチングと考え方は一緒ですが、リーダー(経営者含む)としてチーム(企業)を率いている人の参考になると思います。